「麻生太郎がトランプにアプローチ」は眉唾 トランプ娘婿がロックフェラー介し接近か

1月9日から13日まで訪米した麻生太郎自民党副総裁が米国訪問中にトランプ前大統領サイドと接触していたと日本のメディアは大騒ぎした。近く掲載予定の記事「近代日本第3期への視角2」のタイトルは「ネオコンと対米協調派末裔の統合~戦前を包んだ戦後」である戦前日本の権力中枢=対英米協調派の末裔筆頭が米ネオコンと一体の麻生太郎であり、バイデン政権を牛耳るネオコンの天敵はトランプである。麻生が本気で訪米前に番記者に「トランプに会う」と吹聴したとするなら、バイデン政権がそれを容認するはずがなく、岸田政権は崩壊へと向かう。麻生の米国での動きは眉唾物とみるほかない。麻生の1月訪米目的は岸田政権の支持率を浮揚させ延命させるために米政権関係者と協議するためであった。 岸田ー麻生政権はアイオワ州の共和党予備選でのトランプ圧勝を踏まえ、日本の有権者に岸田政権はトランプ大統領復活を視野に入れてバイデン政権の怒りを恐れることなく対米外交を多面的に展開しているとその「胆力」をアピールしたかったようだ。麻生の動きはバイデン政権とつるんだ茶番とみるほかない。

日本のある全国紙は「麻生氏は9〜13日の日程で訪米。ワシントンで講演などを行った。この際、トランプ氏に近い関係者と面会。さらに、ニューヨークで本人との接触を図ったが、大統領選に向けたアイオワ州での党員集会を控え、調整が付かなかった。」と報じた。一方、AP通信によると、トランプ前大統領は、共和党の候補指名争いの初戦となる1月15日党員集会の10日前にアイオワ州に入っている。つまり、麻生が日本を発った9日から帰国する13日の間、ずっとアイオワ州にいた。日本のメディアは「麻生副総裁は米国滞在中、トランプ氏と接触するのではないか」と騒ぎ立てたが、接触の可能性はゼロだったと言える。「ニューヨークで本人との接触を図ったが、アイオワ州での党員集会を控え、調整が付かなかった」のは当然。日本を発つ前から分かっていたことで、日本のメディアのレベルの低さがはしなくも露呈された。

こんな中、上記全国紙は「麻生氏は今回の訪米期間中、トランプ氏に会うためにニューヨークまでわざわざ訪ねて行くなど水面下で接触を試みたが、共和党予備選の日程の関係で面会は実現しなかった。」「麻生氏はわざわざニューヨークまで会いに来たという事実が、トランプ氏本人に伝わることが重要だと周囲に語っている」と報じている。麻生がそこまでして早くも大統領に返り咲きしそうな勢いのトランプに会いたければ、共和党予備選挙の始まる年明けを避けて昨年末までに訪米したはずだ。

今回の騒動の実態を読み解く信憑性の高い情報がある。それは、実は麻生側からトランプにアプローチしたのではなく、トランプ陣営の方から麻生陣営に接触しようとしたというものだ。具体的には、トランプの娘イバンカの夫ジャレッド・クシュナーがジョン・D・ロックフェラー5世に依頼したというのだ。本ブログでも再三指摘したようにロックフェラー家と麻生家は代々近い関係にある。とりわけ、戦後ICUに留学した4世と麻生は親しいという。ロックフェラー家を通じてトランプ側から「NYに来てくれ」という要請があったようだ。実際、麻生はNYでロックフェラー一族と懇談し、イバンカ、クシュナー夫妻とも食事を共にしたとみられている。この情報筋は「クシュナー氏とは会ったけれど、トランプ氏とは会えなかった」と語っている。

こうみると麻生側がトランプ本人と決して会えない訪米スケジュールを意図的に組み、麻生がわざわざニューヨークまで会いに来たということを娘夫婦を通じてトランプ本人に伝えたとみるのが妥当なところであろう。こうすればバイデン政権を固めるネオコンを過剰に刺激せず、トランプ陣営のメンツも最低限保てたことになる。言うまでもなくロックフェラー一族はトランプの唱える「アメリカファースト」に真っ向敵対するグローバリスト「影の政府」の中枢。ならばクシュナーとロックフェラー5世が個人的に特別に親しく、「形だけ」と頼まれた5世が麻生をクシュナーに引き合わせた可能性が高い。

最高顧問に任命された麻生の留守中の1月11日に自民党は政治刷新本部の初会合を開いた。安倍派、二階派に続き岸田派も派閥解消を唱えている。派閥解消に反対する麻生派や茂木派が岸田支持を止めるかのように報道する向きもある。だが岸田降ろしの動きが起きる気配はない。ワシントンでは岸田首相の今春国賓待遇訪米を見直そうとする気配もない。今回の特捜検察のターゲットは安倍派解体にある。だれも実のある派閥解散が実現し「政治とカネ」の問題が解決すると本気で考えてはいない。すべてが凍結したように変化の兆しはない。

1970代後半に福田赳夫内閣の下、自民党の派閥領袖が勢ぞろいして「派閥解散」を宣言した。間もなくするとなにもなかったように自民党派閥は復活した。その後も同じことを繰り返した。今回も福田赳夫の孫で自民安倍派の福田達夫が早くも「反省の上に新しい集団つくる」と発言し波紋を呼んでいる。2022年6月掲載記事「選挙権、労働基本権…民主主義かなぐり捨てる日本 米管理下の新翼賛体制 6月7日再更新 | Press Activity 1995~ Yasuo Kaji(加治康男) (yasuoy.com)」で触れたように、戦後日本を管理する米権力中枢はもはや自民党崩壊も政権交代も起きることはないと確信しているのだ。

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