やはりこの男が岸田にエールを送った。12月3日掲載論考「米は“レイムダック”岸田首相を延命へ 安倍派解体、反米右派排除が最優先」での推測は的中した。
自民党副総裁麻生太郎は12月5日夕、麻生派所属の衆院議員を都内ホテルに召集。「岸田首相は自信、覚悟を持たないといけない」と岸田を激励、事実上「辞任せず続投せよ」と促した。
「(岸田内閣は)安倍内閣の時だってできなかったものを全部やっている。それでも人気は上がらないんだから、しゃーないんですよ。そういうもんだと思っときゃええやないですか。人気があるからなんぼのもんです、と。」「(岸田文雄首相には)ぜひ、淡々と自信を持って、覚悟を持って臨んでいただかないといかん。そういった厳しい状況にある」と語ったのだ。
「(アメリカを補えるだけの)防衛力を持たねばならん。その力を国の防衛のために使うという国民的な合意もあり、『両方ありますよ』ということを相手国に知らせておくことで、はじめて抑止力が上がる。今、岸田内閣のもとでそういった態度を明確にしている。」
要するに、昨年末の敵基地攻撃能力など「抑止力の強化」を謳った安保関連3文書の閣議決定が「アメリカ様をいたく満足させた」ということなのである。バイデン米政権はダッチロールする岸田政権を年明け早々国賓として招き、何としても支持率を向上させたい、と望んでいるようだ。
麻生が米権力中枢と深く結びついていることは、2022/09/10掲載論考「安倍国葬」指示した麻生太郎の権力の源 保守本流の祖吉田茂の血統と人脈 | Press Activity 1995~ Yasuo Kaji(加治康男) (yasuoy.com)」などで論じた。ユーチューブに登場する著名な全国紙政治部OBらは「麻生は岸田を見限った。早期に辞任させ、二階、菅の動きを封じ、国会議員だけで総裁選を行い茂木内閣を成立させたい意向」と異口同音に語っていた。完全に読み誤っている。
政治資金パーティー「裏金」疑惑の捜査は安倍派そして麻生と対立する二階派に向かっている。裏金疑惑の捜査本格着手で岸田降ろしの風は止む。東京地検特捜がリークする議員名に麻生派は見当たらない。なぜいつも麻生太郎は安全地帯にいて、騒動を高みから見下ろせるのか。既成メディア記者は知っていても書けない。なぜなら米権力の手足、特捜検察を怒らせ、取材に決定的な支障が生じるからだ。
また彼らは2022/12/15掲載の「米国の日本支配に背を向け敗戦否認する政治報道 報道の自由放棄し戦後史歪曲 | Press Activity 1995~ Yasuo Kaji(加治康男) (yasuoy.com)で訴えたように麻生の背後にある米「影の政府」について口を閉ざす。「黒幕は麻生」で追及は終わる。これではジャーナリズムではなく、永田町騒動という茶番劇の口上に堕している。