「出口なき衰退日本」の2040年危機ー “負の連鎖” を断て

本稿は「漂流日本③ 誰のための富なのか 繁栄する企業、困窮する庶民 12月20日差替 」を団塊ジュニア世代が高齢者になる2040年を「日本社会の限界点」とみて、全面的に書き直したものです。内容的には要旨です。後に改定し、参考文献を添付して「出口なき衰退日本」シリーズに組み込みます。       

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■ 2040年――日本社会の“限界点”

2040年、日本の高齢者比率は3人に1人に達し、現役世代は急速に細っていく。
支える側が痩せ、支えられる側が膨らむこの年は、社会保障・税収・消費・労働市場のすべてが同時に悲鳴を上げる“臨界点”だ。
この国の衰退は、もはや抽象的な未来予測ではない。
期限付きの現実である。
にもかかわらず、社会は沈黙している。
この沈黙こそが、日本に「出口」が見えない最大の理由だ。

■ 国家の漂流は、生活の漂流として現れる

国家の制度が変われば、富の流れが変わる。
富の流れが変われば、生活の風景が変わる。
戦後日本を覆った「見えざる占領」は、軍事や外交だけではなく、
私たちの日常の奥深くにまで浸透し、社会の基盤そのものを静かに変質させてきた。
その変質が最も鮮明に現れたのが企業と庶民のあいだに生じた深い断層である。

■ 小学生でも理解できる“負の連鎖”

日本がなぜ貧しくなったのか。
理由は驚くほど単純だ。
1. 企業がもうかる
2. しかし、そのお金を「人件費」に回さず、内部留保と株主還元に回す
3. 働く人の給料は増えず、結婚も子育ても難しくなる
4. 消費が伸びず、経済は大きくならない
5. 経済が伸びないから税収も増えず、年金や社会保障は削られていく
小学生でも理解できる構造だ。
だが、この単純な連鎖を変えようという声は、ほとんど上がらない。

■ 異様な富の蓄積――内部留保637兆円の衝撃

企業の内部留保は2024年に637兆円を超え、GDPを上回った。
一方で賃金は三十年で二割減り、非正規雇用は四割に達した。
企業は栄え、民は滅ぶ。
これが現代日本の縮図である。
内部留保はもはや「企業の安全弁」ではない。
生活から切り離された富の“滞留”であり、社会の血流を奪う巨大な貯水池だ。

■ 第二の対米敗戦と「見えない占領」

1991年のバブル崩壊は、単なる景気循環の破綻ではなかった。
デービスやロバーツが指摘したように、
日本は軍隊なき占領――制度・金融・思想による再編を受けた。
外資規制緩和、企業統治改革、株主資本主義の制度化。
これらは「改革」の名で導入されたが、
実態はウォール街の意向に沿った日本経済の再編だった。
その帰結が、
• 内部留保の爆発的増加
• 非正規雇用の拡大
• 賃金の停滞
• 消費の衰退
である。

■ 富と権力の不可逆的再配分
外資ファンドは日本企業の株式を大量に保有し、
議決権行使や経営方針を通じて企業の方向性を左右している。

ブラックロック、ヴァンガード、ステートストリート――
彼らは表舞台に姿を見せないまま、
日本企業の利益配分を決定する“見えない支配者”となった。
利益は労働者ではなく、株主へ。
富は国内ではなく、国外へ。
これが21世紀型新植民地主義の実態である。

■ 政財官の癒着と沈黙社会

企業献金、天下り、外資との協調。
政財官は三位一体となり、富の偏在を固定化している。
労働組合は企業協賛組織と化し、市民運動は力を失った。
異議申し立てはSNSで炎上と同列に扱われ、
真っ当な声は嘲笑と誹謗中傷の渦にかき消される。
抵抗の回路が破壊された社会は、沈黙によって支配される。
これが「出口なき衰退」の正体だ。

■ 80兆円対米投資と多国籍企業の“脱日本”

2025年の日米首脳会談で、日本は80兆円規模の対米投資を約束した。
国内市場が縮小し、人口減少で投資先を失った日本企業は、
米国市場を“生存の場”として選び始めている。
トヨタをはじめとする多国籍企業は、
国内の下請け搾取で蓄えた富を米国へ移し、
「日本が破綻しても企業は生き残る」構造を強化している。
国家より企業が先に生き残る。
これが新しい植民地の姿である。

■ 結語――沈黙を破るために
2040年に向けて、富と権力の再配分はほぼ不可逆になりつつある。
だからこそ、「出口のない衰退」として諦めるのか、
それとも、この矛盾を言葉にし、共有し、抵抗の回路を再びつくるのか。
後者を選ぼう。
沈黙が社会を覆うなら、言葉で破るしかない。