「日本」という宿痾ー岸田政権にみる延命のための服従

大きなテーマでの連載記事だけを掲載するか否かー。本ブログの進め方に迷ったのに加え、その他の事情で記事掲載を一月余り停止した。結局、その時々の話題についても簡潔に所感を述べることにした。

この間、岸田首相の訪米で日本は9兆円余りのウクライナ支援を行うことを米政府と密約したとみられる。米国の対ウクライナ援助が焦げ付いた場合、日本政府がウクライナに債務保証するというのだ。この結果、あれだけ渋っていた米連邦議会は岸田が帰国すると、すんなりウクライナ軍事支援への財政出動を認めた。麻生太郎自民党副総裁がトランプに会いに出かけたのも「焦げ付けば日本政府が負う」と伝え、了承されたという。

経済低迷、生活レベルの著しい悪化に悩む日本の庶民にとって防衛費は倍増し5年間で43兆円、そしてウクライナへの巨額の10兆円近い支援の密約は到底許容できるものではない。このところその政治活動の在り方が問題視されている「つばさの党」黒川敦彦党首が2022年安倍暗殺前にNHK日曜討論で「CIA資金で作られ外国勢力の統一教会と癒着した自民党は日本国民のための政党ではない」と発言した。指摘を陰謀論として切り抜けようとする勢力がいるが、この発言はずばり正鵠を射ている。

しかも岸田首相は「自民党総裁再選に米国が全面支援する」との密約も取り付けたようだ。6月中に北朝鮮電撃訪問と拉致被害者帰国を実現して一気に解散総選挙へとなだれ込む。過半数を大きく割り込んでも維新や国民民主、そして公明党も取り込んだ多党連立政権で延命する。衆議院補選で全敗しようが岸田首相の椅子はびくともせず、静岡県知事選で負けても岸田降ろしは起きないであろう。岸田政権延命と大宏池会の誕生こそが今後の米国の日本統治に不可欠だからだ。この問題は本ブログで何度も触れてきた。中長期的には自民党は単独であるいは連立で安定的に政権を運営できると確信している。米権力層は日本の超保守主義の根を知り抜いている。

それは服従とへつらいである。これが日本の宿痾である。幕藩体制を崩壊させた尊王攘夷運動も所詮「現人神天皇」という絶対服従の対象を掲げての「御一新=脱亜入欧近代化」であった。「一身独立して一国独立する」 。  「独立できていない人間は他人から侮られ軽んぜられるが、国家も同じ。 国民が甘え、卑屈、依存心から脱却し、日本は自分たち自身の国であるという気概を持たない限り、日本は独立した近代国家として諸外国から認められることはない。」福沢諭吉はこう説いた

福沢の主張は、米国の独立宣言を柔らかい形で説いたものだ。自分たち自身の国(政府)を樹立するとは人民自らが国の在り方を変更する革命権の行使に他ならない。抵抗、革命という言葉に尻ごみする人々は「万邦無比の万世一系の皇統の護持」という宿痾に侵され続けている。欧州連合、アフリカ連合、東南アジア諸国連合といった近代国民国家を超えた地域共同体形成の進む今日、アナクロニズムの極みと言える天皇制を護持する国の在り方は不変とする日本の異質さはあまりに突出しており、社会の病以外の何物でもない。

 

注:「冷戦・CIAの子、自民党と統一教会は兄弟組織」に矛先 安倍暗殺事件評 | Press Activity 1995~ Yasuo Kaji(加治康男) (yasuoy.com)