トランプ次期米大統領は12月15日、故安倍元首相の昭恵夫人と非公式の夕食会を開いたという。夕食会はフロリダのトランプ私邸「マール・ア・ラーゴ」で開かれた。あくまで憶測の域を出ないが、今年7月に選挙運動中すんでのところで暗殺されかかったトランプが、安倍未亡人をこの時期に私的に招いたのは重大な理由があると思えてならない。少なくとも「元首相殺害事件を巡って突っ込んだ話し合いが行われなかったはずがない」とは言える。深読みとの批判を恐れずに言えば、政権移行の手続きが進み、安倍暗殺の背景に自身の天敵である司法省・FBIやCIAなど米諜報機関・工作機関が絡んでいることをある程度解明できたので、「ここだけの話として」それを打ち明けるため昭恵夫人を招いたと推測しても決してうがちすぎとは思えない。
消息筋によると、2022年7月の安倍暗殺以降、トランプ次期大統領は定期的に昭恵夫人に電話をかけ、緊密な関係を維持している。夕食会は、来年1月の就任前だけに、プライベートなものとして実施でき、メディアは一切立ち入れなかった。実際、今回の夕食会はトランプが昭恵夫人と直接やり取りして計画された極めて特別なものだ。
就任まであと1月となったクリスマス休暇前のこの時期に、かつて首脳同士としていかに気が合ったとはいえ、他国の私人にすぎなくなった元首相夫人を「Our condolences. Longtime No see! How are you?(お悔み申し上げる。久しぶり、ご機嫌いかが)」と告げ、慰めるためだけにフロリダまで呼び出すはずがない。就任前だけに米日両政府は介入できない。写真を含めトランプ私邸内に記者を立ち入り禁止にできた。実際、日本時間16日正午まで私邸での写真の配信はまったくない。メラニア夫人がX(旧ツイッター)に投稿した一枚の写真=下左=だけだ。
メラニア夫人は黒色の喪服を思わせるドレスを身にまとい、トランプ、昭恵未亡人もそれに準じた服装で写っている。写真は2022年9月の安倍「国葬」に出席できなかったトランプ夫妻が「故人の無念に思いを致し、改めて喪に服する」との意思を伝えている。
そしてトランプは食事前に安倍暗殺に関する国外情報を含めできるだけの情報を昭恵夫人に伝え、昭恵夫人は夫の死にまつわる不可解極まる点を次期米大統領に打ち明けたと思える。
トランプが自身への2度にわたる暗殺工作はもちろん安倍殺害にもただならぬ怒りと憤りを抱いたのは間違いない。自身の数十件に及ぶ刑事訴追に対処する中、彼が解体を宣言したディープステート(DS)の中核である司法省・警察権力、諜報機関の過去数年の細かい動きは政権移行に伴う関連部署の人事を刷新、関係書類を精査し、幹部から事情聴取して見えてきたのではないか。この問題は12月6日付論考「非米欧世界に眼を向け、敗戦の「軛」からの自由探れ 「攘夷のための開国」の果て②」で詳しく述べた。
会合終了後、トランプサイドも安倍夫人との会合の経緯を当初の「二人のやり取りで計画されたもの」から「お礼とお祝いを伝えるため私がお願いして受け入られれたもの」(帰国後の昭恵談話)へと修正している。これにはトランプ側にどうしても安倍サイドに伝えたいことがあったことを意図的に打ち消す狙いが見て取れる。フロリダの私邸でも日々記者会見や公式発表が続く中、昭恵夫人が訪問した12月15日は報道陣を終日締め出した。帰国後の昭恵夫人も挨拶のSNS投稿を除き、どのくらいの時間をかけてどんな話をしたかについて完黙を貫いている。
「トランプ氏が安倍氏の死後、昭恵さんに定期的に電話をかけ様子を尋ねていた」と伝えていたCNNは、会合終了後も改めて「今回の会合は政府ルートではなく、トランプ氏が昭恵さんと直接やり取りして決まった。」と伝えている。
安倍暗殺とトランプ銃撃には、警備の怠慢という決定的類似点がある。SPや警官らがその背後で容疑者が不審な動きをしているのにまったく無関心だったことだ。アラブの春をはじめ近年では香港民主化、中央アジア騒乱、ウクライナ政変など破壊工作の主流となっている米国民主主義基金(NED)が日本の反安倍運動を支援してきたとの情報もある。
米国のクルックス容疑者はトランプ暗殺未遂後、警護スナイパーに殺害され、ケネディ大統領暗殺事件のオズワルド同様、事件の背景は闇に葬られた。今年3月掲載記事「19日差替:凍結状態の安倍暗殺事件公判 公訴棄却しかねない暗黒国家」で詳述したように、安倍殺害の山上徹也被告の公判は意図的に凍結されていると断定せざるをえない状態にある。今年7月に第4回公判前整理手続きが半時間足らず行われ、以来半年近く放置されている。これは裁判の公開封じと山上被告の抹殺に準ずる動きである。
トランプはこの日米で起きた暗殺と同未遂を巡る闇を徹底的に暴こうとしていると思える。仮に安倍暗殺に米DSが関わっているとすれば、盾になっていたバイデン政権が退陣するため、実行部隊に加担した日本の警察・公安当局は恐怖に慄いているはず。トランプとディールして真実を話し、免責を請う可能性もある。
米国からは「就任前に殺されるのでは」とのトランプ支持者の憂慮の声が聞こえてくる。ケネディ大統領暗殺を調査した公文書公開を約束したロバート・ケネディJrが標的になっているとの懸念も高まっている。間違いなく、今後とも危険なトランプやケネディを消すためありとあらゆる手段が講じられることだろう。
トランプが山上公判の動向に無関心とは思えない。昭恵夫人と私邸でわざわざ話し合いをもったのは、司法省を標的にして官界のDSを解体しようとするトランプにとって彼らをけん制する意味もあると思える。異例の日本人未亡人との就任前会談は「お前らの謀略はすべて明らかにしたぞ」との黙示的圧力ではないだろうか。
おじけづいた日本のメディアは推測で論じると、英米諜報機関の策に嵌り、直ちに「陰謀論だ」と蔑むようになった。事実は現認でもしない限り「事実」ではない。したがって事実に限りなく近づくため、問いかけ(inquiry)、推測を重ね、仮説を立てて足で実証していくしか手段はない。かつて強調したように英字紙の題号にしばしば「inquirer」が使われるのはこのためである。
陰謀論ブームで利を得ているのは誰なのか。陰謀を次々に実行し内外の政敵を抹殺してきたのはDSではないか。あと10年もすれば新聞産業はなくなる。同時に体制順応、縮み志向の既存メディアも消滅する時がきた。SNS、インターネットメディアはすでにテレビ報道も凌駕している。新聞はもはや土俵の外に追いやられた。
参考記事
マスクがトランプ夕食会に同席、昭恵夫人に安倍暗殺の詳細話す??
「「米国のための国葬」浮き彫り ダレスの呪い、安倍偉人化で日本を縛る 2022年10月1日差替」など一連の安倍暗殺関連論考を参照願いたい。