大本営発表型報道続け真相に蓋する大マスコミ 安倍一周忌と統一教会

一体何を恐れているのか?なぜそんなに萎縮するのか?自民党安倍派(清和会)と旧統一教会の問題を巡る日本の大新聞の不甲斐なさに開いた口が塞がらない。7月9日の朝日新聞は社説「教団と自民党 社会の不信に向き合え」で安倍と教団との関係が明らかにならないのは、清和会の会長で派閥古参の細田博之衆議院議長や萩生田光一政調会長が口をつぐんでいるせいにした。安倍派に決定的に不利益となる事実を彼らがためらいなく明らかにするはずがない。なぜ自ら調べ、安倍と教団の関係を報じないのか。

本ブログの関連記事に目を通してもらえば、「朝鮮戦争後の韓国と日本を強固な反共防波堤にしようとした米国の極東政策が兄弟組織・自民党と統一教会を生んだ」となる。1978年米下院フレイザー委員会報告書や当時の米有力紙の報道などを紐解けばさらに背景が明らかになる。これに意図的に目をつぶり、口を閉ざしているのは朝日の社説担当者だ。大本営発表型報道マインドは延々と生き続けている。

1950年代の教団草創期から教祖文鮮明の右腕として活動し、統一教会の裏の裏を知り尽くしている旧統一教会NO.2だった郭錠煥(カク・ジョンファン)は安倍暗殺事件を受けて昨年7月19日韓国で記者会見。「日本の旧統一教会は『献金を作り出す組織』だった」と告白。また安倍銃撃事件について「旧統一教会に関係したすべての者に責任がある」と謝罪した。

昨年7月から8月にかけて本ブログに掲載した幾つかの記事を要約すると以下のようになる。

発足したばかりの米中央情報局(CIA)は巣鴨拘置所にA級戦犯容疑者として拘留中の岸信介に接触を続け、絶対逆らわず米国の権益を擁護すること、すなわち日本を共産主義から守る防波堤とする政治活動に徹することを条件に1948年末、岸をGHQに釈放させたことは間違いない。岸は1955年に保守合同で結党された自民党の傍流ではあるが派閥の領袖となり、今日の清和政策研究会(清和会)の源流を育んだ。

岸と旧統一教会との一体ぶりを示す決定的証拠は東京・南平台の岸邸を文鮮明が訪問=写真=したのを受け、岸邸に隣接して1960年代に日本の旧統一教会本部が設けられたことだ。さらに1983年に岸が脱税に問われ米国で拘留中の教祖文鮮明の釈放を求める嘆願書をレーガン大統領に送ったことである。

統一教会は日本では1964年に久保木修己(1931-1998)を初代会長として宗教法人の認可を獲得、1968年には「国際勝共連合」を設立した。久保木没後、統一教会の日本での機関紙「世界日報」は久保木の遺稿集として「美しい国 日本の使命 」を刊行した。

それから2年後の2006年7月、小泉内閣で異例の若さで内閣官房長官を務めていた安倍晋三は同年9月20日予定の自民党総裁選挙への出馬に備え、『美しい国へ』を文藝春秋から新書版で上梓。日本国内での売り上げは50万部を超えた。また、米国、韓国、中国、台湾など国外でも発売が企画された。戦後最年少で日本の首相となった安倍によって「統一教会・自民党」政権が発足したのだった。第一次安倍政権のイデオロギー装置・日本会議はダミーだったとも言える。

1954年に統一教会が創設される際、韓国軍の将校4人が教団幹部として参加した。そのひとり朴普煕(1930-2019)は朝鮮戦争が終わるとフォートベニング陸軍歩兵学校(ジョージア州)で訓練を受けた後、米国を拠点に統一教会を率いた。間もなく文鮮明もワシントンを拠点とし=写真=、統一教会はCIA、KCIAと一体となり世界規模で政治工作を展開する。

朴普煕は「ニューズ・ワールド」、「ニューヨーク・シティー・トリビューン」、韓国日刊紙『世界日報』、米紙『ワシントン・タイムズ』を刊行、「韓米文化自由財団」総裁、「カウサ・インターナショナル」会長、「世界平和連合」議長、「韓国文化財団」理事長、「中南米統合機構」総裁、「世界平和頂上会議」議長、「世界言論人協会」会長を歴任した。

1954年に韓国で「APACL(アジア人民反共連盟)」が創設される。第5代CIA長官アレン・ダレスが根まわしをし台湾の蒋介石、韓国の李承晩が中心的役割を担い、日本からは児玉誉士夫や笹川良一が駆けつけた。東京で1962年に開かれたAPACL会合では、日本支部立を推進した岸信介が大会議長、スイス公使としてCIAの前身OSSスイス支局長アレン・ダラスらと終戦工作に当たった加瀬俊一が事務局長に就任。東条内閣外相の谷正之、石井光次郎、中曽根康弘、椎名悦三郎ら自民党議員、高杉普一(三菱電機会長)、堀越禎一(経団連事務局長)、松下正寿(立教大教授) 、細川隆元(評論家)、小林中(経団連理事)ら国内35名、米駐日大使ら外国代表86名が集まった。 準備委員会には岸のほか、吉田茂元首相、石坂泰三経団連会長、植村甲午郎経団連副会長、足立正日商会頭など日本の政財界トップが名をつらねた。

APACLは1966年に米諜報機関を後ろ盾とする東欧出身の親ファシスト派組織「ABN(反ボルシェビキ国家連合)」と統合してWACL(世界反共連盟)となる。2年後に日韓両国の統一協会は「国際勝共違合」という看板を掲げて、宗教と反共団体の二足のわらじをはく。米国にとって日韓を結ぶこの反共団体は世界規模の反共運動の重要なコマとして機能した。

旧統一教会との関係を秘匿することは岸の巣鴨拘置所からの釈放条件を固く守ることに通じる。巣鴨3人組の一人で岸の盟友にして右翼の大物笹川良一は1970年、東京であった政治団体「国際勝共連合」のイベントに参加したアメリカ統一教会幹部に胸を叩きながら「私は文(鮮明)氏の犬だ」と語ったという。それは米権力中枢CIAへの絶対忠誠を意味し、統一教会のための裏で活動する忠実なスパイ役・番犬であると自認したことになる。

「統一教会と自民党はCIAの子、兄弟組織」であることが明々白々となった今、日本の有権者は自民党議員たちの白々しい弁解、虚言を許してしまうのか。

 

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