戦後司法の戦前化、権力執行者に軛を―立花孝志の異常長期拘留考

NHK党の元党首立花孝志は被告は昨年11月に元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕、起訴され、現在も神戸拘置所で勾留されている。逮捕直後に代理人を務めた石丸幸人弁護士が8日、Xを更新し立花被告の長期勾留に言及した。

「私は立花氏の元弁護人であり、辞任以降は本件についての発信は意図的に控えていた」「しかし、あくまでも一般論としても、名誉毀損罪で身柄拘束されるだけでも、極めて珍しいのに、その身柄拘束が10ヶ月間も続き、しかも、未だに裁判が開かれない」「完全に異常な事態」と。

森友学園問題で有罪判決となった籠池夫妻のケースも引き合いに出し、「異常な期間身柄拘束された籠池夫妻を思い出す。こんな恣意的な運用をするなら、法の支配など何の意味も無い。この国の司法は、戦前と何ら変わらないのかもしれない」と訴えた。

立花の件は、昨年11月14日、石丸が「立花が罪を認めて謝罪する方針だ」と明らかにしている。

神戸地検は11月28日、立花を名誉毀損罪で起訴した。起訴後、弁護側は神戸地方裁判所に対し複数回にわたり保釈を請求したが、地裁はいずれも却下。却下の理由について裁判所は公式に明らかにしていない。「SNSYouTubeを通じた多大な影響力による証拠隠滅の恐れがある」を名目にしているようだ。

日産再建の立役者カルロス・ゴーンは2018年11月19日金融商品取引法違反で東京地検特捜部に逮捕され、日産、三菱の会長職を解任される。2019年1月、特別背任罪で追起訴された。長期身柄拘束が人質司法と問題になる中、2019年12月、関西国際空港から音響機材搬送用の箱に隠れて自分のビジネスジェットで密出国、母国レバノンへ逃亡した。日本の戦前型で運用され、司法人質と批判される日本の司法の実態を国際的に見せつけた。

最近では、検察官の腐敗が続々と明るみに出ている。東京地検特捜部に所属していた検事2人が取り調べの対象者に怒声をあげたなどとして特別公務員暴行陵虐罪で刑事裁判にかけられる一方、ある男性検事は捜査対象者の女性に肉体関係を迫った。事件の捜査が終わった後から交際を始め、交際中は別の事件の捜査に使った東京都内のホテルの部屋に女性を呼び寄せ、2人で泊まった。国会議員の聴取に使うため用意した部屋だった。

自白偏重の戦前型取り調べを引き継いだ戦後司法は、再審事件を次々と生んできた。再審開始を異様に遅らせている検察抗告の禁止は、法相の諮問機関である法制審議会の答申で見送られてきた。「地裁から最高裁までの三審で確定した有罪判決が、下級審の判断で見直されることになれば、法的安定性が失われる」ことを言い訳にしてきた。そこには人権を蹂躙しながらも国家権力の面目と権威を最優先する思想が貫かれている。

軛となる権力抑制の法規がなければ、権力執行の権限を与えられた警察、検察、裁判官はどこまでも暴走する。