旧統一教会の解散命令請求した岸田政権、ついに安倍派解体に着手

安倍派解体を論じた2022年10月22日掲載記事「旧統一教会解散決意した岸田首相 安倍派解体必至、どうなる日本政治 | Press Activity 1995~ Yasuo Kaji(加治康男) (yasuoy.com)の見出しを変えて再掲載する。

注:岸田政権は2023年10月、文部科学大臣名で「教団(旧統一教会)の行為は民法上の不法行為に該当し、著しく公共の福祉を害する」などとして解散命令を東京地方裁判所に請求した。

支持率暴落で追い込まれた岸田首相が元凶といえる統一教会の解散を決意した。そして統一教会に関係した国会議員の問題が政局がらみで追及されるようなら、首相は統一教会関係議員の一掃を掲げて解散・総選挙に踏み切り国民に信を問うー。反骨の元外交官天木直人氏が自身のブログでこう断言した。本ブログは8月23日付論考「『統一教会との過去、説明できない議員の排除断行?』岸田政権は安倍派解体へと動けるか」で、もし自民党から旧統一教会関係議員が一掃されればここ20年余り自民党最大派閥、政権主流として君臨した清和会=安倍派は解体されるとみた。だが岸田首相は相変わらず「本命安倍氏に関する調査は死亡しており限界があるので行わない」と逃げ回り、民法の不法行為は教団への解散命令請求の根拠にならないと述べた翌日には発言を撤回するなどまったく腰が据わらない。しかし、ここは「決断できない岸田首相が決断に踏み入った」との天木氏の見立てを前提に、岸田首相が教会解散と連動する安倍派解体の後、日本をどこに導こうとしているのかを考えてみる。

■CIA、統一教会、米権力中枢

霊感商法被害、家庭を崩壊させる高額寄付金強要といった問題もさることながら、日本における統一教会問題の本質は「統一教会は朝鮮戦争休戦を受け、米中央情報局(CIA)が東西冷戦に対処するため日本の自民党の兄弟組織として設けた」ことだ。このことは7月21日付掲載論考「『冷戦・CIAの子、自民党と統一教会は兄弟組織』に矛先 安倍暗殺事件評」で解説した。

CIAと統一教会の背後には米国の権力中枢が存在している。日本の政権と与党自民党は絶えずこれに脅えながら協力を余儀なくされてきた。こうとらえなければ、日本で半永久的に政権を握る自民党がなぜ70年近く統一教会と密接な関係にあったかは理解できない。統一教会の背後にある米権力中枢とはロックフェラー、モルガン、ロスチャイルドなど巨大金融資本を筆頭に、外交問題評議会(CFR)と英王立国際問題研究所(Chatham House)に世界秩序統治を掲げて結集するアングロ=アメリカ支配層を指す。

CIAの出自はウオール街にある。CIAの前身OSS(Office of Strategic Services, 戦略事務局)に深く関与したアレン・ダレスは実兄でアイゼンハワー政権(1953-1961)の国務長官となるジョン・ダレスの勧めでニューヨーク・ウオール街の国際法律事務所サリヴァン&クロムウェルに所属。財閥企業のクライアントの意向に沿って政策をプロデュースするため、国務省とクライアントの橋渡しをする任務に就いた。要はモルガン、ロックフェラーなどウオール街・財閥企業の意向を米国の外交政策に反映させるのが任務であり、第二次大戦後は国務長官となる兄ジョンのCFRでの活動を背後から支えた。東西冷戦が本格化する中、CIAは米権力中枢による世界統治のための工作機関として発足する。

 

【写真】1967年にNYで撮影されたロックフェラー5人兄弟。左からデービット、ウィンスロップ、ジョン3世、ネルソン、ローレンス。ジョン・ロックフェラー3世は1951年1月に米国務省顧問ジョン・F・ダレスとともに来日、裕仁天皇と講和条約や安保条約締結を巡り密談。息子ジョン4世がICUに留学したほか、ロックフェラー家は明治末期の1907年にはジャパン・ソサエティーを設立し、天皇家や側近の宮中グループと太い絆を結ぶ。戦後には1963年にアジア文化交流プログラム(ACP)などを発足させてその運営で日本と深く関わってきた。戦後、裕仁、明仁両天皇ともに訪米の際には、ニューヨークのロックフェラー邸を訪問した。天皇の私人宅公式訪問は前代未聞とされた。皇太子明仁は1950年代にワイオミング州ジャクソンホールにあるロックフェラー家別荘に1週間ほど暮らすなど全米を1月かけて旅行中、ロックフェラー家に全面支援されている。

 

■アレン・ダレスと破壊工作機関CIA

第二次大戦勃発後の1940年にアレン・ダレスはOSSに入局。スイス・ベルン支局長としてドイツ軍との降伏交渉に続き日本との降伏条件交渉にも携わった。戦後は1951年にCIA副長官、アイゼンハワー政権の発足に伴い1953年に文民初のCIA長官に就任した。トルーマン政権までは情報収集を主要任務としていたCIAはアレン長官の下、「暗殺・転覆活動・謀略」などに主眼を置く破壊工作機関へと変貌した。極東では1950年に朝鮮戦争が勃発し、対立していた連合国軍総司令官マッカーサーが翌1951年に解任されCIAは一気に活動を活発化する。

アレンがCIA長官に就任すると翌1954年に冷戦の最前線、韓国に統一教会が生まれる。キリスト教を最大宗教とし信者が人口の3割を超える韓国では、朝鮮戦争中に北朝鮮にいた文鮮明を韓国に連れ戻し世界基督教統一神霊協会(通称:統一教会)の教祖に仕立てあげ教団を反共工作機関とした。CIAは統一教会発足時に韓国軍諜報将校4人文の腹心として教団に送り込む。間もなく韓国でKCIAを発足させ、教団の活動を日本、米国、世界へと広げてゆく。

CIAは日本では戦犯容疑者として巣鴨拘置所に収監されていた岸信介らに接触し、釈放後全面援助して、1955年の保守合同で反共を党是とする自民党を結党させる。彼らは自民党を半永久的政権与党として国に隷属させ、憲法9条を骨抜きにして1954年に発足させた自衛隊を米軍指揮下の補完戦力として育成していった。警察予備隊、保安隊、自衛隊と名を変えた日本の再軍備は、東アジア有事の際、朝鮮戦争時がそうであったように、大半の兵が戦地に飛び、手薄となった日本に駐留する米軍将兵を補い、在日米軍と基地施設を防衛するためのものだった。「アメリカに“日本防衛義務”を課した」とする安保条約第5条と自衛隊の専守防衛は日本での世論対策のための方便だった。

米権力中枢はソ連崩壊・ポスト冷戦のここ30年はネオコン(新保守主義者)に米政界を取り仕切らせてきた。経済政策では、彼らは世界中に新自由主義(ネオリベ)を浸透させ、規制緩和の徹底・市場万能主義の蔓延と社会格差の拡大を進める一方、社会主義政党・容共組織、急進労働組合、先鋭な市民運動など反資本主義抵抗勢力の弱体化や解体を図ってきた。それはなにより米国の単独覇権を維持させるためであり、ポスト冷戦期における自民党の役割は基本的にネオコン、ネオリベの政策を従順に推進することだった。統一教会はキリスト教の教義を土着の先祖供養、道教、仏教などの世俗教義と混交させ、日本では憲法改正、安全保障政策の重視、家庭教育支援条例など自民党安倍派の復古主義的な政策を後援する形になっている。

■安倍派解体決断の背景

岸田首相は10月17日の衆院予算委員会で「私自身は旧統一教会とは関係を持たずに政治活動を行って来た。関係を持たない私が責任を持って、未来に向けてこの問題を解決していきたい」と答弁した。この発言を理解するには、そもそも自由民主党とはいかなる政党として発足したかを理解せねばならない。一言でこの党の結成を説明すると「水と油」の合体、野合である。米国の監視と庇護の下、半永久的に与党であり続けたため党所属議員らは権力のうまみと利益配分を享受し、党内党とされた各派閥が派閥領袖の党総裁の座を巡る熾烈な派閥間抗争を展開して疑似的政権交代を繰り返し、いつしか野合体であることは忘れ去られていた。

しかし、この7月に安倍晋三元首相が銃殺されたのを機に、事態は一変する。自民党には戦前・戦中から米権力中枢と親和的で対米協調派とされた吉田茂を祖とするかつての保守本流派閥「宏池会」と、上記のように戦前・戦中は満州国運営やアジア太平洋戦争遂行の中枢にいて敗戦後はA級戦犯容疑者として収監された岸信介を祖とする傍流派閥「清和会(安倍派)」という2つの相容れない源流があることが改めて認識された。

岸田が胸を張って「私自身は旧統一教会とは関係を持たずに政治活動を行って来た」と断言したのは、現在は自民党第4派閥と弱体化しているものの保守本流を自負する「宏池会」を率いる領袖であるからだ。言い換えれば、「我々は安倍グループとはそもそも出自、政治姿勢を異にする政治グループである」と明言したに等しい。だからこの際、岸田は「関係を持たない私が責任を持って、未来に向けてこの問題を解決する』」と答弁したのだ。未来に向けてこの問題を解決する」との岸田の発言は統一教会と兄弟組織の清和会(安倍派)を解体し、所属議員を一掃して党を抜本再編する」との宣言である。こう読み取るほかない。

保守合同の1954年、吉田茂率いる自由党を離党した鳩山一郎、岸信介は三木武吉、河野一郎らを反吉田で結集させて日本民主党を結成した。1946年の戦後初の総選挙で勝利した自由党の党首鳩山は公職追放され、吉田に首相の座が転がり込んだ。1952年に政界復帰した鳩山が政権移譲を迫ると、吉田は拒絶した。戦犯容疑者の身は解かれたが公職追放されていた岸信介も1952年に追放解除され弟佐藤栄作の所属していた自由党に入る。だが吉田と路線対立して自由党を除名された。反吉田の一点で結ばれていた岸・鳩山はCIAに強要されて不倶戴天の吉田率いる自由党と野合した。吉田は自民党結党から2年間入党を拒み抗議した。自民党は結党67年にして野合体を脱するのか。

■なぜ岸田総理なのか

2012年末に第二次政権を発足させた安倍首相は2015年新安保法制をはじめワシントンから背負わされた重い任務をやり終え連続在任期間が歴代最長となったばかりの2020年8月に任期半ばで辞任した。

これに伴う2020年総裁選では、副総理兼財務相で大宏池会再興を唱える麻生太郎が安倍と歩調を合わせ早くから岸田政調会長(当時)への禅譲を模索していると伝えられた。最大派閥の清和会からも「安倍さんの本心は岸田さんだ」(森喜朗元首相)など岸田を持ち上げる発言があり、安倍批判の急先鋒石破茂よりむしろ岸田優勢とする下馬評もあった。ところがコロナ給付金を巡る岸田の対応がやり玉に上がり、麻生や二階俊博らが官房長官菅義偉支持を打ち出し、一気に菅支持が雪崩となって菅が安倍を後継した。この背後に「当面は安倍路線をそのまま継承」とのワシントンのシグナルが垣間見えた。

現職菅が立候補を見送った2021年総裁選では岸田が決戦投票で米国の逆鱗に触れる「脱原発」を掲げる河野太郎を破って総裁となり、第100代内閣総理大臣に就任した。ここで注目すべきは安倍の振る舞いである。安倍派は自派閥からの候補者擁立を見送り、安倍が清和会を除名された無派閥で右翼国家主義者の高市早苗を全力で支援する一方、ベテラン議員を中心に多数が岸田を支持した。安倍の盟友とされた麻生が高市になびくことはなかった。麻生派の票は派に属する河野と岸田に向かった。麻生派の出自が宏池会であり、相当数の票が岸田に向かったのは自然である。

安倍晋三が清和会を除名された高市をしゃにむに応援したのは、自分の主義主張、第一次安倍政権のイデオロギー装置・日本会議や統一教会の政治姿勢に高市が合致していたからである。派閥除名の過去がなければ高市は安倍派の統一候補となっていた可能性大である。しかし第二次政権で安倍首相は岸田を外相として首相兼任の吉田茂を除けば戦後最長の4年7カ月登用。しばしば岸田への禅譲を匂わせていた。実際のところ、安倍は岸田の処遇に関しては米ジャパンハンドラーと日本会議・統一教会など右翼支持層との板挟みになっていたと思われる。

安倍が最も嫌った保守本流と称される大蔵・財務官僚支配の流れをくみ、祖父岸の政敵で軽武装・経済優先路線を掲げた吉田の直系派閥「宏池会」の会長となったばかりの岸田を対米関係・日米安保を司る外相に長期間任用した。しかも日米安保体制を大転換した新安保法制成立という最も重要な時期を挟んでである。これは安倍自らの意思ではない。ワシントンの意向と考えるべきである。日本のメディアは決して触れなかったが、こうみれば安倍のジレンマが理解できるし、最大派閥「清和会」が独自候補を擁立できなかったことも合点がいく。

もう一つは自民党の正統派・宏池会の出身で親ネオコン、台湾寄りタカ派の副総理として安倍とコンビを組んできた麻生太郎=写真=の存在だ。麻生は個人的にも安倍と馬が合ったようだが、8年近く安倍首相、麻生副総理兼財務相という前例のない権力支配が続いたのは裏舞台で上記米国権力中枢の意向が働いたとみる他ない。曾祖父牧野伸顕ら宮中グループが戦前から太い絆を培った米権力中枢であるロックフェラーやモルガンといったウオール街・巨大金融資本にとって麻生は日本政治のハンドルに不可欠である。しかも麻生の大宏池会復興には岸田が必要だった。

 

 

■「ノーモア・アベ」

自民党は清和会支配から宏池会復興へ移行している。安倍が悲願を装った憲法改正は旧統一教会の憲法観が自民党の憲法改正案と類似していると批判する世論を支えに退けることができる。ここ20年ほど自民党にはびこってきた戦後占領期からの民主化の成果を蔑む時代錯誤な国家主義や復古志向は幕を下ろす時がやってきた。時代は「ノーモア・アベ」である。この流れを確かなものにするのが岸田政権の重要な役割となっていた。そこに降って湧いたように起きた安倍暗殺。岸信介から安倍・清和会までの自民党の2つの柱の1つを取り換えるまたとない機会となっている。

流れに変化が見え始めたのは2015年の集団的自衛権行使が容認された新安保法制の成立した時期だ。これを境にはっきりとは見えないながらも流れは変わっている。日本の大衆の間に「清和会の政権が続くようになってかつての繁栄する日本は凋落していった。」、「個人所得も国内総生産(GDP)もまったく伸びなくなった。」「実際、2000年に世界2位だった一人当たりGDPは韓国に追いつかれた。一時は抜かれた。」「日本の主要企業に米国株主が急増しかつての終身雇用をはじめ日本的経営の良さが失われた。」、「株主への配当を優先し不安定な非正規雇用が激増して給料も上がらなくなった。」「所得が伸びなければ少子高齢化が一層進み日本は衰退するばかりだ。」、「中国が台頭、米国は衰退しており、日米安保は時代に合わなくなった。」などの声が出て徐々に拡大、そのトーンは高まりつつある。清和会による対米追随の軍事偏重路線から宏池会修正路線への転換が必要になったのである。

日本のメディアの報道によると、岸田首相が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との「決別」を決意したのは、夏休みに入り自ら新型コロナウイルスに感染してテレワークを始めた8月22日だった。「縁を切るしかない。それを徹底しなければならない」。世論の逆風にさらされ、こう決意し、26日には党所属議員の事務所に教団や関連団体との関係を問うチェックリストを配布し調査を開始した。それでもいっこうに逆風はおさまらず、追い込まれた末に10月17日には衆院予算委員会で「旧統一教会と関係を持たない私が責任を持って未来に向けてこの問題を解決する」と誓ったのだ。これは間接的ながら岸田自身の口から発せられた「ノーモア・アベ」と受け取れる。

■問題の岸田版「新しい資本主義」

日本の右翼勢力の米国離れが顕著だ。7月の参院選では皇国史観を拭いきれていない反米自立路線を唱える参政党が議席を獲得、国粋右翼グループがCIAエーゼントとの疑い濃厚な日本会議を支える「極右」著名人らと袂を分かっている。米国の権力中枢やジャパンハンドラーも危機感を抱いている。そこで宏池会を「脱軽武装・経済優先」にリセットさせようと動いたわけだ。反米勢力の拡大を防ぐには日本経済の再生と差し迫った脅威に仕立て上げた中国・ロシア・北朝鮮の動向を見据えた安全保障政策を打ち出すことが肝要と踏んでいる。

経済再生では米権力中枢発の「新しい資本主義」という看板を掲げた。一方、岸田政権は安倍軍拡路線を継承し、積極的平和主義の名の下、北大西洋条約機構(NATO)加盟国と足並みをそろえた防衛費増強へと進んでいる。南西諸島の先端石垣島にまで陸上自衛隊を駐屯させ、地対空、地対艦ミサイルを配備。奄美から沖縄諸島を敵基地攻撃の前線としつつある。メディアを通じて、数年以内に中国の台湾侵攻があると脅威をあおり、ジャパンハンドラーの巣窟である米戦略国際問題研究所(CSIS)などに台湾有事に日本本土を含めどの程度の被害が出るかのシミレーションを行わせ、危機感を増幅させている。これを伝える専門ネットメディアはウクライナ危機・台湾有事バブルで有料購読者を爆発的に拡大中だ。

10月7日掲載の論考「岸田版『新しい資本主義』覆う暗雲 WEF提唱”グレートリセット”の焼き直し」で指摘したように岸田政権の経済政策は正体が見え見えで、あまりに危うい。危険という前に詐欺的ですらある。記事のリード部分を要約して以下に記す。

「資本主義のグレートリセット(大刷新)」を提唱する世界経済フォーラム(WEF)のクラウス・シュワブ会長が4月に訪日し岸田政権の経済政策は豹変する。昨年10月政権発足当初、岸田は成長分配の好循環で所得倍増を目指す新しい資本主義」を提唱した。それは新自由主義を批判して格差是正と中間層復活を図りケインズ型修正資本主義を目指すかのような期待を抱かせた。ところがこれをあっさり封殺。世界の巨大資本提唱の「グレートリセット」を日本で代行する「資産所得倍増プラン」を打ち出した。それはかつてない円安を進めて外資に絶好の投資環境を創出し、「日本売り」を加速させるものだ。岸田政権は、経済再生の名の下、日本経済の「失われた30年」恒久化を進めている。」

■5月サミット後の総選挙:政権はもつか

岸田政権は2023年5月のG7広島サミット後に解散総選挙に打って出るとの報道が出た。旧統一教会の解散がスムーズにいくかは保証がない。来年4月の統一地方選挙で統一教会関連議員に代わる候補を立てて、総選挙では新地方議員らの票田を母体に非統一教会関連候補を公認して安倍派を一掃するプランが練られているだろう。だが、恐らく、安倍派の抵抗はすさまじく、岸田降ろしの嵐が吹き、政局の大波乱もあり得る。これに岸田政権は耐えられるのか。

ナショナルセンター労組「連合」とCIAはタッグを組み、最大野党立憲民主党に共産党との選挙協力を絶たせた。これで立民は再起不能なほど弱体化した。日本維新の会は自民党の補完勢力であり、日本から政権交代可能な野党は事実上抹殺された。吉野連合会長が岸田自民党総裁を新年パーティに招き、続いて岸田が吉野会長と官邸で懇談。労働運動を抹殺しようとする反共右派政党として発足した自民党が経済界・企業経営者に賃上げを要請するという倒錯現象が起きている。これは資本・経営に対するチェック機能を果たし、賃上げをはじめ労働条件改善要求をリードする労働運動の終焉を意味する。

安倍国葬を引きずる統一教会問題、未曽有の円安・ドル高で日本企業や不動産が買いたたかれ「日本沈没」が加速する中、岸田を辞任に追い込み、あえて自民党の後継総裁選に立候補し、代わって火中の栗を拾おうとする者はいないだろう。岸田内閣の支持率さえそこそこ上向けば、いつ総選挙を行っても自民党が過半数を割るとは考えられない。対抗勢力、野党が事実上消失した一党翼賛体制が出来上がっているからだ。朝令暮改と発言ぶれまくりの岸田が日本をどこに導こうとしているかは明らか。現状打破は有権者の大きな怒りと大胆な抗議行動、そして野党勢力の復活に懸かっている。