米国のウクライナ・ゼレンスキー政権に対する姿勢が一気に冷めてきている。米国はこれまで数十億ドル相当の兵器をウクライナへ譲渡してきたが、米政府当局者はこのほどCNNに「侵攻したロシア軍と戦うウクライナ軍へ提供する米国の高性能兵器の在庫が逼迫し、供給が難しくなっている」と語った。これについて専門家は「米国は、ゼレンスキー政権に対し『武器供給はしない』とは直接言えないので、『在庫がない』として、これまでタレ流し状態だった軍事支援を打ち切ろうとしている」とみている。
「在庫払底」を口実とする新規武器供給の打ち切りが実施されれば、ゼレンスキー政権は求心力を失い、クーデターを含む政権交代も現実味を帯びてくる。一方で戦争継続に固執するゼレンスキー政権が軍事援助再開を求め、ロシアからの攻撃を偽装した破壊工作を一層激化させるとの予測もでている。
米政府は8月末にウクライナに29億8000万ドル(約4100億円)相当の軍事支援を新たに実施すると発表。国防総省高官は、配備までに数年かかる武器も含まれており、長期戦を見据えてウクライナの防衛力を支えていくと強調していた。2021年のバイデン政権発足後に米国が決めた対ウクライナ軍事支援の総額は135億ドル超。新たな支援策には中距離地対空ミサイルシステム、攻撃用無人機、対砲兵レーダーなどを追加し、火砲の弾薬も大幅に拡充するとしていた。
バイデン米政権のゼレンスキー政権に対する態度豹変ぶりは18日掲載の「米NATOとゼレンスキーとの間で高まる不協和音 日本は早速『同調』」などを参照してもらいたい。
また19日にはオランダの裁判所が2014年7月に起きたウクライナ東部上空でのマレーシア航空機撃墜事件でロシアの元軍人3人に終身刑を言い渡した。事件はウクライナ戦争の構図を濃縮したものだ。米英が背後にいてウクライナ軍に実行させた未曽有の非戦闘員に対する無差別大量虐殺事件と強く疑わざるを得ない。マレーシア紙「New Straits Times」の粘り強い長期の調査報道を再点検しながら、近く何らかの形で字にする予定である。