習近平とのツーショットの示唆する岸田文雄の対中姿勢 直前の中国名指し批判は何だったのか 19日更新

下は10月17日にバンコクで行われた対面の日中首脳会談での習近平、岸田文雄の冒頭ツーショット2枚である。

 

 

続いて2019年12月に訪中した安倍晋三と習近平とのツーショット2枚である。安倍の笑顔はぎこちなく、翌2020年4月に国賓としての訪日を予定していた習の表情は限りなく硬い。

 

 

 

以下は、今回の東南アジア歴訪の最初の訪問地カンボジアで11月13日に岸田首相が中国を名指し批判したとのニュースである。

「ASEAN=東南アジア諸国連合の首脳会議に出席するためカンボジアを訪問中の岸田総理は、東アジア首脳会議で中国を名指しし、東シナ海で日本の主権を侵害する活動が継続されているなどと訴えました。 …岸田総理は、尖閣諸島を念頭に「東シナ海では中国による日本の主権を侵害する活動が継続・強化されている」と明言し、「台湾海峡の平和と安定も地域の安全保障に直結する重要な問題だ」と訴えました。 また、香港や新疆ウイグル自治区の人権問題についても深刻な懸念を表明し、地域における経済的威圧に強く反対しました。」

岸田と面談した習近平の表情からは「名指し批判」へのこだわりはまったく感じ取れない。支持率が暴落し、危険水域の30%割れに苦しむ岸田の表情はいつになく爽やかだ。安倍の作り笑いとは対照的である。日中の井戸を掘った田中角栄、平和友好条約締結時の外相大平正芳はいずれも岸田の主宰する自民党「宏池会」・吉田茂人脈の系譜を引き継ぐ政治家である。反中・反共の安倍・清和会とは真逆。岸田に対する習の柔らかい態度がすべてを語る。

中国名指し批判は北京にではなく、「ご要望通り『名指し』で批判致しました」とワシントンに向けられたのだ。日中間には1972年の国交回復以来半世紀、非公式な信頼醸成・安全保障チャンネルが構築されている。これがワシントンをいら立たせ、日本の親米右派を介して岸田や外相の林芳正をはじめとする宏池会人脈を媚中・売国奴として排除しようとしてきた。

「岸田もなかなかの役者」。こう安堵させる日本の総理の2022年11月ASEAN歴訪であった。