高市ファッショを阻止する宗主国・米国 「衰退日本の150年」特別編

それにしてもすさまじく自民党に雪崩打ったものだ。有権者は「高市さん、もうなんでも思い通りにできるわよ。がんばって」と全権委任した。誰が巧妙にフィーバーを仕掛けたかは定かではないが、これはもうファッショである。日本の議会は右翼で埋まった大政翼賛会となった。

予兆は真向いに住む70代女性Aさんらの行動にあった。「以前は政治にまったく興味のなかった」というこの人、昨年末から日がな一日高市早苗絡みのユーチューブ番組視聴のため家に閉じこもり、いざ解散総選挙となると「政治生命を賭した」高市のため友人、知人に呼びかけミニ応援団を結成して選挙遊説先を追いかけまわした。

高市ファッショを生んだ草の根運動は「豊かで強い日本を作る」との高市の叫びに心酔したAさんのような人が支えたようだ。彼女は言う。「靖国参拝は是非とも。普通の国になるため憲法改正は一刻も早く。スパイ防止法は待ったなし」。この熱狂は「不滅の皇国日本」信奉のエネルギーに変わりそうだ。

故安倍晋三は国会答弁で「ポツダム宣言」を「つまびらかに読んでいない」と発言した。安倍はポツダム体制拒否のため意図的にこう発言したのかもしれないが、本当に精読していなかった可能性もある。ならば今回投票した有権者の大半はポツダム宣言の何たるかも知らないはずである。Aさんはきょとんとしていた。

第二次大戦末期の1945年7月26日、アメリカら連合国が日本への無条件降伏を勧告したのがポツダム宣言である宣言の核心は「日本に民主的政府をつくる」という一点。しかし当時の大日本帝国指導層にとって、民主的政府=国体の否定だった。なぜなら、民主主義とは「主権は国民にある、政府は国民のために存在する、権力は制限される」という思想だからだ。これは、天皇主権・国体護持・国家優位という明治以来の絶対的価値体系と真っ向から衝突する。

日本は1945年8月15日にポツダム宣言を受諾したことになっている。しかしながら、日本が受諾したのは「民主なきポツダム宣言」 である。この概念は、日本近代史を読み解くうえで決定的に重要でありながら、ほとんど語られてこなかった“盲点”といえる。

日本帝国は今も日本の右派国家主義者の胸の中に存続している。彼らはポツダム宣言を「受諾した」のではなく、「国体護持を条件に“形だけ”受け入れた」にすぎない。戦前の国家観・統治文化・エリート層の精神構造が温存された。だから今や靖国公式参拝、改憲、抜本的な軍事強化、スパイ防止法(治安維持法)は一刻も早く達成せねばならないことになる。

だが…である。ポツダム宣言を起草したのは当時の米国の国務長官である。現憲法をはじめ日本の民主化を手掛けたのは米占領軍である。米国は超党派で安倍・高市路線を強く警戒している。アメリカは安倍一派の本音が「反米」であると承知しているからだ。トランプ政権が高市を支持するのは「防衛費の爆増、武器・軍事技術輸出の解禁、80兆円対米投資、対米技術移転、米資本のための企業統治改革」等々なんでもありで追従するからである。アメリカの本音は、「日本を弱体化し、二度と再び歯向かわせない」にある。

高市政権がアメリカに逆らうことはない。敗戦という重い軛を掛けられ80年余り身動き取れなくなっている。ポツダム体制を否定する靖国公式参拝は行えない。「平和憲法は改定するな」とアメリカに指令されており、憲法改正に手は出せない。献金、上納金を次々と求めるアメリカに対する「ノー」は政治生命ばかりか物理的生命の終わりを意味する。安倍暗殺はそれをいやというほど見せつけた。

一方で対米追随が露わになれば、高市フィーバーは急速に冷めてゆくのは必至。党内基盤が弱いため、選挙の顔として役に立たなくなれば、「ガラスの天井を破った」初の女性首相は1年と持たないであろう。メディアがとってつけた「高市一強」が空々しい。

改憲が不可能であることについては 本ブログ掲載記事

「私の手で改憲成し遂げる」は安倍首相最大の虚言--どう我々を欺いているのか

トランプの対日観については、同じく

真珠湾、横田経由で訪日、「ミッドウェーは米史上屈指の戦い」と演説ートランプの対日観

高市の靖国観については、

対米挑発する高市の異様な靖国尊崇 特攻型極右の排除は必至

をそれぞれ参照されたい。