「安倍『清和会』と統一教会は一体」と憤激、”復讐”か 元首相暗殺事件短評3 7月21日末尾追加

安倍晋三元首相銃撃で現行犯逮捕された山上徹也容疑者(41)の犯行に至る背景が判明してきた。報道をはじめ様々な情報を総合すると、元首相は比較的裕福だった容疑者の家庭を金銭的に崩壊させ、一家離散に追い込み、容疑者を社会的に転落させた旧統一教会や傘下の世界勝共連合を日本に招いた岸信介元首相の孫であり、日本の最有力政治家として世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と繋がっており、許せなかった。これが殺害の動機である。山上容疑者の母親が熱烈な信者として活動していたことは教会側も認めた。事件発生当初は「山上容疑者は『犯行は政治信条からではない』と供述している」とされたが、雲行きが怪しくなってきた。20年に及ぶ復讐計画に基づく殺害決行が日本の戦後政治の暗部を表に引き出すこと必至と思える。

安倍元首相暗殺を機に岸信介を源流とし、安倍が首相退任後に会長に正式就任した自民党最大派閥「清和政策研究会」とCIAの極東での反共戦略そのものとも言える「旧統一教会」「勝共連合」との関係が明るみに出つつある。

戦犯容疑者から釈放された岸信介は米国の初期対日占領方針転換による「反共化・日本再軍備化」を促進するミッションを負った。統一教会の創設者・文鮮明は1968年に岸の協力を得て、反共産主義政治団体「国際勝共連合」を日本に設立した=写真= 韓国、日本を反共の防波堤とすることを極東政策の根幹に据えた米国は「勝共連合」をそれに深く関与させた。この流れについては本ブログ掲載記事「「保守「主流」逆転と米国の圧力 反共強国と清和会支配1 」を参照されたい。

ネオコン主導の米国支配層は今も日本に対米隷属政治を堅持させるためにCIAを介して反共工作に尽力している。その結果が日本共産党を拒むナショナルセンター労組「連合」の自民党接近であり、連合六産別(連合傘下の6つの産業別組合:UAゼンセン、自動車総連、電機連合、電力総連、JAM、基幹労連)は野党第一党の立憲民主党に共産党との選挙協力解消を迫り奏功した。また米機関とタッグを組み民主党を分裂させ、分断を修復しようとした立憲民主党と国民民主党の再合流にも反対した。

こうして、野党勢力は小党分立して弱体化し、7月10日の参院選で予想通り惨敗した。岸田自民党政権は事実上の一国一党支配を強化し、新たな翼賛体制が形成されつつある。今回の選挙結果はCIAや米ネオコンの工作の成果と思える。長年その「日本総支配人役」を務めてきたのが安倍元首相だ。詳しくは、5月18日掲載記事「選挙権、労働基本権…民主主義かなぐり捨てる日本 米国管理下の新翼賛体制形成」を参照されたい。

1960年にCIA資金で民社党とセンター労組「同盟」を創設し、与党自民党に対峙する二大政党の1つ容共の社会党を分断したのと同じ手法が繰り返された。社会党分裂の資金源に1954年創立の旧統一教会も深く絡んでいたと疑われている。山上容疑者がこれを知れば、次は安倍「清話会」←CIA「米政府」←世界平和統一家庭連合(旧統一教会)という裏資金の流れを推測してもおかしくない。

幼少時に父は自死、教会に多額献金し続け破産した母は家出、幼いころから大病を患っていた兄は7年前に借金苦とみられる自殺、兄や妹を保険金の受取人として自分も自殺未遂。山上家を経済破綻させ、一家離散へと追い込んだ旧統一教会に吸い上げられた金が一部にせよ安倍・自民党清和会に流れ、思春期以来、勉学の意欲も能力もあった自分にとてつもなく苦難な生活を強いてきたー。こう強く思い詰めた可能性もある。

下記写真の示すように安倍は頻繁に教団の政治組織「国際勝共連合」の機関誌「世界思想」などにメッセージを送っていた。頭脳明晰とみられる山上容疑者がこれを読破、その内容に憤激していたことは大いに考えられる。実際、報道によれば、「安倍メッセージを知って殺害を思い立った」と供述している。

有力政治家が特定の宗教団体の教義や活動に敬意を示すメッセージを送れば一般に人々は「この組織はいかがわしいものではない」と受け取る。安倍は組織への信用と勢力拡大の最大の広告塔であった。清和会所属議員が秘書派遣や無償選挙応援などの見返りを得たのみならず、安倍をはじめとするシンパ国会議員らは多額の報酬(裏金)を得ていたのではという疑念は自然に生じる。

奈良県内でも屈指の県立進学校に在籍していた自分を大学での勉学を断念させた末、非正規労働者への道を歩ませた一斑の責任が安倍「清会」にはあると山上容疑者が憤激したとしても、その当否はともかく、不自然ではない。

本事件は単なる怨恨による殺人事件ではない。米国の反共政策に支配されている日本の戦後政治の闇と膿が表に全面的に出かねない公安事件である。戦後政治の警察官僚支配は安倍・菅政権でピークに達している。安倍一派の傀儡政権である岸田内閣でも変化はなく、官僚トップの内閣官房副長官(事務担当)には栗生俊一・元警察庁長官が任命された。第2次安倍政権以降、10年にわたり警察官僚が同職を牛耳っている。「清和会」に過剰忖度する警察当局の「容疑者供述」の公表は内容が巧妙に歪曲、隠ぺいされている可能性が極めて大きい。親安倍メディアの報道も同じだ。決して鵜呑みにしてはならない。

一例を挙げる。7月21日の毎日新聞デジタル版は「安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)が『本当の敵ではなかったが、仕方なく安倍氏を殺害対象に選んだ』という趣旨の供述をしている」と報じている。供述調書は警察サイドが先に作り「『本当の敵ではない安倍氏を仕方なく殺害』これでいいな」と容疑者に迫り、同意を強要することで作成できる。

これは多くの冤罪事件の判決で容疑者本人の自白調書の信用性が否認されてきたことからも明らかだ。例に挙げた記事は、安倍「清話会」へのダメージを最小にしたい平河町・自民党と警察の暗黙の合意を示唆しているとの疑念を抱かざるを得ない。

本ブログ2020年10月掲載記事「安倍・菅政権と警察官僚 繋がる戦前・戦後 」「同その2 日・米欧を繋ぐ」を参照されたい。